前回は空手の基本である正拳突きをちょっと語ってみました。
フルコンと古流の空手をそこそこ長くやってきて偉そうな事を言っている私ですが、実は正確な正拳突きが打てません。
人差し指の第三間接が直角に曲がらないためにしっかり正拳を握れないのです。
レントゲンを取ってみたところ、関節の形がそうなっているから仕方ないとのことです。
私の母も同じ手をしているので、遺伝なのかもしれません。
運動は苦手で、身体も自信がなかった私が一念発起して始めた空手ですが、始めてすぐに問題になりました。
基本通りに正拳突きをすると人差し指を傷めてしまいます。
正拳突き(その道場ではストレートと言っていました)どころか、フック(鍵突き)やアッパー(上げ突き)など、拳で打つ技の全部で人差し指を傷めてしまいます。
フルコンで突きが出来ないのは致命的ですし、そもそも稽古についていけません。
第一歩目から挫折した私は「こりゃダメだ、やめよう」と思っていました。
しかし当時指導してくれたある先輩が言ってくれました。
「突きは基本だけど絶対ではない。これが出来なければ他の技を磨けばいい。空手には手刀も掌底もあるし蹴りもある。」
そう言って色々な技を教えてくれました。
そうはいっても突きが打てない私はダントツで弱かったわけですが、この言葉が無ければ私は空手を続けることは無かったでしょう。
未だに正拳はきっちりとは握れません。
拳を見ても空手をやっている人とは見えません。
正拳突きのフォームは出来ますが、そのまま当てるとやはり突き指してしまいます。
ですから物に当てる時は中指、薬指、小指の第三間接で当てています。
そのためフォームはスイング気味で、手首も若干曲がってしまいます。
フックもアッパーも無理です。
でもその代わりに蹴りや受けについて深く考えることができるようになりました。
正拳が握れないのは確かに不利ですが、空手はそれだけではありません。
絶対に正しい空手というものは無く、自分として正しい空手を目指せばいいと思います。
「これが出来なければ他の技を磨けばいい」という言葉を胸に、今でも怪しい正拳突きをしています。
先輩はたくさんいた生徒の中の一人である私を覚えてはいないでしょうし、こんなことを言ったこと自体忘れているでしょう。
でも先輩、僕はあなたのおかげでまだ空手やってますよ!
コメント
こんにちは。
何気なく見ていた記事に目が留まり、とても励まされました。
僕も同じく人差し指が原因で正拳が握れません。
なんとか克服しようと躍起になって、それは本当に真剣に工夫しながら練習しましたが結局、拳を痛めてしまい、格闘技が怖く、いやになっていました。
しかし、記事にあるように問題克服にばかり気を取られ他の可能性が見えなくなっている事にようやく気づけました。また、この拳だからこそ、見えることもある!その通りですね。
ありがとう。
生まれながらの一本拳さま
返信が遅くなりました。
拳を痛めてしまったのはお気の毒でしたね。
私は相変わらず拳は握れませんが、「昨日の自分より強くなる」ことを目標にしてなんとか楽しくやっております。
目的も道も人それぞれです。
また歩きたくなったら歩き出しましょう。
Daniel-sanさまへ
返信ありがとうございます。
目的も道も歩み方も人それぞれですが、極めようと日々精進している人々にはいくつか共通しているものがありますね。
袖が擦れ合うほどの縁ではあっても、これほどに人の心をさわやかにできるものまた空手道を通じて積んだ徳によるものなんですね。
また歩き出したくなりました。ほんとうにありがとう。